「現状、インフルエンサー施策で認知は取れているが、Meta広告運用からの新規顧客獲得単価が6,000円以上でたくなっており、4,000円を目標になんとかしてもらえないか?」という相談をペットフード販売会社様からいただきました。
大手芸能事務所への依頼や、トップインフルエンサーの起用も検討したが、費用が高く、効果が不透明な中で依頼できないとのことでした。
すでに広告設定代理店と並走し、運用を行っているとのことですが、目標とするCPAに向けて実現性のある施策が少なく、弊社にお声掛けをいただきました。
確かに、広告運用を主たるサービスとする運用代理店では、Meta広告の設定は非常に細やかで専門的なところに長けていらっしゃる会社が多いですが、Webマーケティングを統合して打ち手を検討することには不慣れな会社・担当者も多くあります。
今回は、広告設定代理店が諦めたCPA低減を、Instagram運用xMeta広告で達成した事例についてご紹介いたします。
目次
1.もはやMeta広告はバナーとLPのみで勝負するフェーズではない
相談者様からのお話では、「現在の依頼先である広告設定代理店では、広告運用設定に関するアドバイザリーはあり、軽微な改善の可能性はあるが、CPAが30%以上下がるイメージがない。」とのことでした。
それらを踏まえて、広告運用アカウントを見直すと下記が課題として浮かび上がってきました。
課題1 バナーの変更が少なく、フリークエンシーが上がっている
(広告設定代理店あるある、SNS運用者の強み)
課題2 LPまでは顧客を遷移させることはできているが、購買につながっていない
特に課題2についてですが、Meta広告はMeta広告の設定のみによって成果が担保されるものではありません。
Metaのターゲティング精度や、広告バナー閲覧後のCVRを上げるために施策を打つことが(案外知られていませんが)重要です。”それぞれの専門家に依頼すると、タコ壺化した施策となり、全体での広告費用の割に成果が出ない取り組みとなってしまうのです。
課題と打ち手について端的にまとめると、”Metaの設定に問題はないが、Webマーケティングのファネル全体で勝負ができておらず、施策が独立して行った結果、CPAが高騰してしまっている”という結論に達しました。
そのため、ファネル全体の位置付けを再整理し、ファネルを意識した施策の再設定を行うことにしました。
①フリークエンシー低減のためシーズンごとのバナーで幅だし(商品ではなく使い方)
②リタゲを活用し、初期認知→購買認知でうまく刈り取り
③検討層に向けてIGアカウント(フィード・ストーリーズ)で訴求
④インフルエンサー施策の活用による初期認知獲得
2.ファネル改善に伴う具体的な施策
1.フリークエンシー低減のためシーズンごとのバナーで幅出し
フリークエンシー(frequency)とは、デジタルマーケティングにおいて、同一のユーザーに対して広告が表示された回数を意味する言葉です。何回も同じ広告バナーが流れてきて煩わしい、そんな経験を皆様もされたことがあるはずです。
広告バナーの種類を追加できないと、以下に勝ちバナーだとしても、ユーザビリティが低くなってしまい、購入に繋がらなかったり、ブランド価値が毀損したりします。
また、売り手としての訴求意思が強くなると商品紹介をしてしまう傾向が強いですが、マーケティングの基本にある通り”顧客はドリルではなく穴を買っている”ので、商品ではなく使用価値・体験価値を中心にバナーを作成することが重要です。
バナーを複数種類作成できない大抵の場合は、複数いるターゲットへの解像度が粗く、提供価値を明文化できていない点によることが多いです。
今回の相談者様のケースでは、ブランドとして訴求したい点が明確であったため、それを冒頭で訴求する投稿の作り方をインフルエンサーに指示することで、世界観をある程度統一することができました。
ただし、投稿作成規約を厳しくしすぎるとインフルエンサーのカラーが出ない投稿となり、フォロワーに良い影響を与えることができなくなるため留意が必要です。
2.リタゲを活用し、初期認知→購買認知でうまく刈り取り
依頼時にインフルエンサーへ明文化し伝えておくと、上記の場合を省くことができるだけでなく、粗悪な対応をするインフルエンサーや、商品を受け取っただけで投稿を行わないインフルエンサーを少なくすることができます。
Meta広告のリターゲティングの機能はうまく利用されていますか?バナータップをされた方などに広告を配信する機能です。
こちらの設定時にターゲットとして設定するだけでなく、専用にバナーを作成することが重要です。なぜなら、バナーをクリックし、LPに遷移しても購入しなかった方というクラスターには、購入しなかった理由があるからです。
その理由を、LPのヒートマップなどをインプットに仮説立てて、バナーに落とし込むことが重要です。
3.検討層に向けてIGアカウント(フィード・ストーリーズ)で訴求
Meta広告からの導線は複線化しており、
広告バナー→LPでの購入 だけでなく、
広告バナー→IGアカウント→LP での購入検討者も、少数ですが一定います。
安価な商品であれば、LPのみで購入の意思決定をされる顧客が多いかもしれませんが、サブスク等に繋げる商品であれば顧客の財布の紐は硬く、
購入に向けてリサーチをすることでしょう。その際に、顧客がまず見るところがIGアカウントです。
バナーでの訴求内容や、LPでのメッセージと整合性が取れるようなアカウント運用が顧客導線上必要です。
4.インフルエンサー施策の活用による初期認知獲得
Metaの広告ターゲティングの大部分は、AIによる最適化が強く働きます。ただ、未認知顧客に広告でリーチする場合に、見込み顧客可動化の判定をAIが行うとっかかりがなければ、広くマスに訴求をしてしまい、口座開設の垂れ流しとなってしまうでしょう。
できれば初期リーチが取れるインフルエンサー施策等で、ターゲットに色をつけておいて、主要配信先をAIが判定する際に最適化しやすいようにする方が良いでしょう。
結果:ファネル全体を最適化し、CPA30%低減
結果として、新規顧客獲得のCPAを6,000円代から4,000円代に約30%ほど低減することができました。これにより、顧客獲得効率が上がり事業の拡大スピードが大きく変わりました。
弊社としても、広告運用代理店様がすでに実施されている領域でのさらなるバリューアップを求められたお仕事であったため、成果をお約束できなかったのですが安心いたしました。
総括購入検討者にむけて最適化を行いましょう
Meta広告も広告の一つで「広く告知する」という意味ですが、告知した先で購買に繋げるには、告知先のマスである全体ではなく、一部の少数である購入者に向けて情報を発信することが重要です。
決して、広告バナーを受け取った先には生身の人間がいて、一人ずつが購買するかジャッジしているということを忘れてはいけません。
一方で、大胆な仮説と細やかな運用が必要になってしまうので、担当者としての力量が如実に出てしまうかと思います。