「新しくドッグフードのブランドを立ち上げたが、知名度がなく売上に繋がらない。なんとかしてもらえないか?」という相談をペットフードのブランドを立ち上げた会社様からいただきました。

大手芸能事務所への依頼や、トップインフルエンサーの起用も検討したが、費用が高く、効果が不透明な中で依頼できないとのことでした。

確かに、ECショップを立ち上げ、サービス提供開始当初に費用対効果の見えにくい部分へ、数百万円単位で投資することは難しいと思います。一方で、認知がなければ売り上げを創れないことも事実であり、身の丈にあった認知獲得戦略を実行し、大手企業と競争する必要があります。

今回は、そんな相談者様とインフルエンサー施策で認知を取り、売上に繋げたケースについてご紹介いたします。


    1.虚を捨て実を取る、身の丈に合うマイクロインフルエンサー施策


    相談者様のイメージとしては、まずSNS上での圧倒的な認知をとって、売上に繋げたいという思いがあるようでした。そのためのトップインフルエンサー起用を考えられておられましたが、予算感として何度も施策を打つことができず、PDCAを回すことができないということがネックです。

    そのため、マイクロインフルエンサーの活用をご提案させていただきました。トップインフルエンサーの場合には、華やかで一気に認知をとることが可能ですが、ブランドとしての世界観を伝えることができない、認知は取れても売り上げを作ることができない、といったリスクがあります。

    確かに、ペットフードの業界においても、”インフルエンサー犬”というものが存在し、フォロワーが多いアカウントでは数十万フォロワーが存在しています。彼らも「案件」として企業から商品を提供され、紹介をしていましたが、案件投稿のエンゲージメントが低く、売上にはつながっていない印象でした。

    (詳しくは、フォロワーが多いアカウントはペット好きのフォロワーが多く、飼い主のアカウントが少ないという理由によります。)

    一方で、マイクロインフルエンサーの場合は玉石混交ではある一方で、適切なマイクロインフルエンサーであれば、認知だけでなく売上にまでつながるケースが多くあります。

    また、競合のペットフード会社もマイクロインフルエンサー施策は当時手づかずだったため、独占的に認知を獲得することが可能だっただけではありません。

    マイクロインフルエンサーへの案件依頼数が少ないため、商品提供のみ(案件費用なし)での依頼が可能であることがわかりました。

    ドッグフードに関するインフルエンサー

    2.マイクロインフルエンサー施策実施時のポイント


    ただし、マイクロインフルエンサーの登用にはリスクがないわけではありません

     ・投稿しても売上に繋がらなかった
     ・ブランドのイメージと異なる投稿をされてしまった
     ・費用も含めてトラブルにつながってしまった


    上記のケースが起こりうるため、弊社でリスクオフのために運用を代行いたしました。

    本施策実施時は、「マイクロインフルエンサーへのギフティングから認知をとり、フォロワーの購入に繋げる。ただし、リスクは最小化するものとする。」という目的のため、下記の3つを実行時のポイントとしてご支援いたしました。



    1.購買につながるインフルエンサーを選定する



    特に重要な点が「1.コメントがついている」です。購買に繋げる影響力のあるマイクロインフルエンサーは、独自のコミュニティを形成しており、それが外部に現れるのがコメント欄になります。
    コメントが少ないインフルエンサーへの依頼は避けることがベターです


     マイクロインフルエンサーの選び方
     1.コメントがついている→独自のコミュニティ形成ができている
     2.フォロー数が少ない→フォロワーを無理して取りに行っていない
     3.エンゲージメントが多い→投稿の閲覧者が多い/支持されている



    2.ブランドイメージに沿った投稿を依頼する


    購買につながるインフルエンサーでも、ブランドを毀損しかねない使用法や投稿を行う場合には、長期的に見て価値があるとは考えられません。そのため、投稿作成時の規約を作成する必要があります。


    今回の相談者様のケースでは、ブランドとして訴求したい点が明確であったため、それを冒頭で訴求する投稿の作り方をインフルエンサーに指示することで、世界観をある程度統一することができました。

    ただし、投稿作成規約を厳しくしすぎるとインフルエンサーのカラーが出ない投稿となり、フォロワーに良い影響を与えることができなくなるため留意が必要です。

    3.インフルエンサー施策でトラブルを避けるポイント



    インフルエンサー依頼時にトラブルを避けるポイントは明確に一つで、依頼時に条件を全て明文化しておくことです。インフルエンサー施策にまつわるおおよそのトラブルは、依頼後に伝えきれていなかった要望があった場合に依頼主との間で対立が起こるものです。

    依頼時にインフルエンサーへ明文化し伝えておくと、上記の場合を省くことができるだけでなく、粗悪な対応をするインフルエンサーや、商品を受け取っただけで投稿を行わないインフルエンサーを少なくすることができます。


    結果:UGCが大幅に増加し、売上増加にも寄与


    結果として、開始1年でインフルエンサーによる投稿を約200件していただくことができました。

    また、それによりInstagramないでのUGCが蓄積されるばかりでなく、自社アカウントでのコンテンツ作成時に活用することができ、事業開始初年度からユーザーが愛用しているという印象を与えることができました。

    それにより、初年度売上1億円以上を達成しております。


    総括:事業フェーズにあったマーケティング施策選定


    SNSでは華やかなインフルエンサーがもてはやされ、彼らを中心としたインフルエンサー施策が主流となっております。ですが、購買につながるのはむしろ購買ターゲットが支持するマイクロインフルエンサーである場合も多くあります。

    大きく認知を取りたい場合にはトップインフルエンサーの活用も良いでしょうが、認知と売上を着実に繋げるにはマイクロインフルエンサーの活用が重要な局面もあるものです。自社の事業フェーズと課題・目的から適切な施策の選択が重要ですね。

    弊社では、マイクロインフルエンサー施策(カテゴリーインフルエンサー)とトップインフルエンサー施策を異なる位置付けとして整理、提案しております。

    SNS関連施策マップ